クロード・シャブロル追悼中。「クロード・シャブロル特集 映画監督とその亡霊たち」

フランス映画祭はまだ終わっていない。
朝日ホールのパイプ椅子で鋼鉄の尻を作り上げた私は、翌日からユーロスペース、そして翌週末からは日仏に通う。
フランス映画祭2011特別プログラムクロード・シャブロル特集 映画監督とその亡霊たちが今月末まで開催中なのです。

長編作品だけで54本もあるのにも関わらず、半数以上が日本未公開。
先月イメージフォーラムでの未公開傑作選を経験しただけでは、シャブロルと言う人物を語るのに全然足りないのです。

ユーロでの上映は、平日昼間の上映で満席・立ち見も出るほどの大盛況の会があったとか。
レイトショーでも『パリところどころ』以外は結構埋まっていた。
日仏でも、日本語字幕無しの上映でも大入。
シネマテーク・フランセーズのジャン=フランソワ・ロジェ氏の講演があった『野獣死すべし』も同時通訳機すら行き渡らないほどの大入りで、立ち見(実際は階段に座布団しいて座るけど)だった。

完全にシャブロル・フィーバー。
シャブロリアンがこんなに熱いとは!!!
ゴダール、トリュフォー、ロメール…とヌーヴェル・ヴァーグなレトロスペクティブは数多あれど、どの熱とも違うような。
男性客の率が非常に高いのもまた独特な熱を放っているのかもしれない。
フランス国内でもこれだけまとまった上映はしていないというのだから、本当に貴重な機会です。
来週からのパリ旅行をちょっと躊躇ってしまうほど、シャブロルワールドにどっぷり浸りたい欲求が出るほどです。

ロジェ氏の講演では、『甘い罠』『不貞の女』などフィルムを流しながらのシャブロル作品の解説に加え、シャブロルの暗い過去なども。
シャブロル作品は字幕無しでも、フランス語全然わからなくても堪能できると思うけど、同時通訳機なしでの講演会聴講では自分の拙いエクテ能力を嘆いたね…。

長男を10ヶ月で亡くし、次に生まれてきた子供に長男と同じ名前をつけてしまったことの後悔。
その後悔の念を思うと、シャブロル作品でところどころで感じる物悲しさがより深みを増すような。
実は『野獣死すべし』で息子をひき逃げされた父よりも、罪悪感から犯人のほうに自らを重ね合わせていたんじゃないか、とか、鑑賞後ずっと尾を引くような強烈な余韻はここに起因するのか、など悶々と考えてしまう。(嗚呼、深読みするほど再鑑賞したい!)

ペール・ラシェーズ墓地で静かに眠るシャブロル。周りに誰もいなく、御供え物も少なく実に寂しそうだった。
今東京で巻き起こっているこのフィーバーを、空の上からギョロッと目を見開いて見て欲しいな。
パイプを加えながら。

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